俺(68歳)、健康志向がアダとなり三途の川でUターンしかけた話
Last Updated on 2025年6月30日 by 管理者 Nikifarm
おはようございます
今朝の血圧(116/85)正常だ。
6月29日(日曜日) 埼玉県吉川市、最高気温33度。
目 次

油断大敵
おはよう・・・なんて、爽やかな挨拶で始めてみたが、昨日の俺の耳には死神の吐息にしか聞こえない。
第一部:良かれと思ってやったんだ劇場【破滅へのプレリュード】
笑ってくれるな。
俺は己の健康を信じ、毎朝5キロのジョギングを日課としている。
「今日も元気だ、汗が美味い!なんと記録を更新!」
などと、昭和のスポーツ根性論を脳内で再生しながら。
だが、この「良かれと思って」が、地獄への片道切符だったと誰が気づけようか。
帰宅後、シャワーを浴びた後に測った血圧は
「86/58」
もはや低血圧というより「省エネモード」。
いや、起動前のBIOS画面か?
もちろん血圧の薬「アムロジピン」なんて薬は飲んでいない。
己のジョギングが「ジョグ薬(ヤク)」という名の麻薬となって、体に牙を剥いているのだ。
普通の人間なら、ここでソファに沈み、Netflixでも観ながら回復を待つだろう。
だが、俺は違う。
俺たちシニアは、ここで間違えるのだ。
「よし、一汗かいて体も温まった!最高のコンディションで、いざ畑へ!」
そう、俺は血圧86の体を引きずり、正常に回復する前に次の戦場である炎天下の畑へと直行した。
今思えば、それは破滅への助走。
自ら死神の懐に飛び込むようなものだった。
第二部:死闘!VS雑草【夢という名の現実逃避】
最悪のコンディションで、朝8時半から3時間。炎天下の畑。
「ぶどう棚の下で休んでるし」
「魔法瓶の白湯も飲んでるし」
・・・そんなアリバイ作りは、灼熱の太陽の前では免罪符になどならない。
そして、シニアを狂わせる魔物が、そこにはいる。
そう、それは雨後の雑草だ。
「あと一塊だけ」
「このきゅうりの畝が終わるまで」
それは、決して終わらない悪魔との契約。
憎き地下茎を見つけた時の、あの妙な高揚感。
根を根絶しようと、土を掘り起こす無我夢中の時間。
俺はもはや農家ではない。
雑草という名のテロリストと戦う、孤独な兵士だった。
脳内では「俺は畑の守護神!」とBGMが鳴り響いているが、体はとっくに白旗を上げ、ウルトラマンのタイマーが切れるように点滅している。
このギャップに気づかない。
いや、夢中になることで、体の悲鳴から耳を塞いでいたのだ。
第三部:死神とのランデブー【武蔵野線・架線下トンネルにて】
帰りの武蔵野線、架線下のトンネル。
あの薄暗い空間で、携帯電話の支払いを求める集金人がやってきた。
携帯電話しか入っていないショルダーバッグが、コンクリートブロックのように首と肩に食い込む。
強烈なだるさ、つらい。
武蔵野線の電車が走ったせいか、地球がぐらり、ぐらりと揺れる。
思わずしゃがみ込みそうになるのを
「家はもうすぐだ」
という最後の根性で押しとどめる。
だが、目の焦点が合わず、けだるさがやってくるのが分かった。
がんばれ、がんばれと聞こえる。
やっとドアを開けた。
帰宅後、シャワーを浴び、お湯を口に含む。
頭に架けたお湯がなんとも気持ちがいいのだ。
シャワー後、冷たい手で測った血圧は
「68/53」
ああ、これはもう完全に昨年に続き二度目の熱中症だ。
いや、熱中症というより、三途の川の渡し賃「68円」を、きっちり請求された気分だった。
恐ろしいのは、この一連の流れに
「俺はヤバい!」
という明確な自覚がなかったことだ。
朝のジョギングでHP(ヒットポイント)を削り、炎天下の畑仕事でMP(マジックポイント)を使い果たした。
そんな単純な計算すら、太陽と雑草の麻薬は忘れさせる。
脳が「行け!」と命じても、体はとっくにエンストを起こしている。
自分の体を30年前のスペックだと勘違いしているOS(脳)と、ガタガタのハード(体)。
シニア世代はこのバージョン不適合が、致命的なエラーを引き起こすのだ。
第四部:天国からの誘い【スズキのオジーちゃん編】
もしこのブログが今日で終わっていたら、こう思ってくれ。
「ああ、あの爺さん、ジョギングと草むしりのコンボで、きれいに逝ったな」
と。
なにせ、お隣の鈴木のオジーちゃんは、ちょうど3年前、この炎天下の畑でポックリと天に召されている。
正直、今日一番ヤバかった時、向こう岸で涼しげな顔をした鈴木さんが手招きしているのが見えた。
「おーい、こっちの水は甘くて、雑草も生えてこないぞー!」
なんて、最高のセールストークを言いやがる。
だが、俺はまだ断る。
「すまんな、鈴木さん! 俺にはまだ、貴方から教えられた石倉一本ネギを栽培するという使命が残っているんでね!」
そう、俺はまだ生き延びる。
今日は、まだ死んでやらない。
最後に、炎天下という戦場へ向かう全ての同胞へ
「昔は平気だった」は禁句だ。
「まだ大丈夫」は死亡フラグだ。
私は68歳。
もう若くはないという事実が、一番の安全装置なのだ。
次に炎天下に出るときは、自問してほしい。
「今日の俺は、死神とジャンケンする準備ができているか?」
と。
水分・塩分、そして何より『あと一株だけ』という悪魔の囁きを振り払う勇気。
どうか、命の危険を甘く見ないでほしい。
一瞬の我慢と達成感が、永遠の後悔になる。
これから炎天下の戦地へ行くすべての方へ。
必ず生きて帰ってきてください。
心から、そう願います。







