“だからお伝えしているように”が刺さった日
Last Updated on 2026年5月30日 by 管理者 Nikifarm
おはようございます。室温25.1℃、朝の血圧(125/92/78)。
■ 銀歯は、いつ消えた?
4、5日前からどうも、
下の部分入れ歯が浮く。
食べるたびに、
「カコン」と微妙に動く。
最初は、
何か硬い物を噛んで、
バネを曲げたのだと思っていた。
だが本当に消えていたのは、
入れ歯ではなかった。
しかも、
それがいつ消えたのか、
まったく思い出せないのである。

■ バネを曲げたと思い込んでいた
部分入れ歯には、
銀色のバネがついている。
それが歯に引っ掛かって、
固定される仕組みだ。
だから私は、
こう考えた。
「何か食べた時に、
引っ掛けて曲げたんだろう」
4、5日前か、もっと前からか、
妙に浮く。
しかし、
何を食べたのかも、
もう思い出せない。
シニアになると、
昨日の晩飯より、
50年前の文集【五本松】のほうが鮮明だったりする。
脳の保存形式が、
だいぶ独特な形になっている。
■ 消えていたのは“〇〇”だった
歯医者で説明した。
「どうも、固いものかんで
バネを曲げたみたいなんです」
先生は、
入れ歯を見て、
レントゲンを見て、
少し黙った。
「うーーん…」
この時間、
なかなか緊張する。
すると突然、
「あーーー、そうか」
と言った。
私は、
入れ歯の寿命かと思った。
だが違った。
「入れ歯は、 大丈夫です」
「ただ、
支えている歯の
銀の詰め物が無いですね」
・・・。
銀歯というより、
歯にかぶせていた
銀のカバーのような詰め物である。
つまり、
バネを掛ける“土台”そのものが、
消えていたのであった。
そりゃ浮く。
柱のない家みたいなものである。

■ 私は知らぬ間に食べていたらしい
問題は、
それがどこへ行ったかだ。
先生は静かに言う。
「たぶん、
食事中に外れて、
そのまま飲み込んだんでしょう」
・・・。
ええーーー。
だが考えてみると、
確かに違和感はあった気もする。
いや、
無かった気もする。
もう何も分からない。
しかも、
何日前からだから、
何を食べたのかも思い出せない。
- お寿司か
- せんべいか
- 柿ピーか
あるいは、
銀シャケ定食だったのか。
人間、
ある年齢を超えると、
“異物を飲み込む能力”
だけ進化するらしい。
■ 「だからお伝えしているように」
帰り際、
受付で次回予約を取る。
受付の若いか、微妙な女性が言った。
「次は一週間後、
5日以降でお願いします」
「11時半ころから13時半、
午後は15時半ころまで空いています」
そこで私は、
できれば歯医者が一番空いている時間に行こうと思った。
待たないほうが、お互い楽である。
だから聞いた。
「こちらの、
一番すいている時間って、
いつですか?」
・・・
すると受付の人。
少し真顔で、かなりきつい口調で
「だからお伝えしているように」
「11時半から3時半ころです」
・・・。
その時間帯のことは、私はちゃんと聞こえているのだ。
だから、あえて聞いたのだ。
それなのに、
“だからお伝えしているように”
このキツイ言い方が、
静かに私の心に刺さる。
これ以上何も言えない。
たぶん、
受付の人は何も悪くない。
むしろ、
ちゃんと説明している。
私は怒られた幼児のように、思わず最初に聞こえた
「11時半でお願いします」
とポツリと出てしまった。
悪いのは、
銀の詰め物を飲み込んでも気づかず、
さらに同じことを聞く私のほうである。
ちゃんちゃん。

■ 気づき
人生後半は、
「壊れた」と思ったら、
案外、“支えていた土台”が消えている。
しかもそれを、
自分で飲み込んでいることもある。
だから今日は、
人間も歯も、
基礎を大事にしたいものである。


