日本人にはわかる。だが、なぜするのか説明できない作法とは
Last Updated on 2026年1月27日 by 管理者 Nikifarm
おはようございます、室温15.3℃。
目 次
■ 中華料理店「福源」は今日も平常運転
先日の昼どき。
今年初めて、埼玉県吉川市にある中華料理店「福源」へ。
注文も、いつものランチ定食1番。
豚肉と白菜ときくらげ炒め定食。
脳が覚えている味。
舌が覚えている量。
財布が覚えている値段。
……の、はずだった。

■ 伝票を見て、静かに二度見
ランチメニューを見る。
850円。
ではない。
900円。
一瞬、
見間違いかと思って
もう一度見る。
やはり、900円。
「あ、白菜…出世したな」
心の中で、
白菜をねぎらう。

■ 値上げの理由は、聞かない美学
理由は分かっている。
・原材料(米代)
・光熱費
・人件費
・世界情勢
・たぶん円安
今さら
「なぜですか?」
とは聞かない。
聞いたところで、
白菜が元に戻るわけでもない。
日本人は、
こういうとき黙る。
黙って、食べる。
■ 座敷で起きる、無言の連携プレー
畳の座敷テーブルでは多くの家族が昼食。
食後。
立ち上がる。
座布団が、
見事に散乱している。
その瞬間――
誰とも目を合わせていないのに、
なぜか全員が動き出す。
自分の敷いていた座布団を、
一枚、また一枚。
気がつくと、
きれいに端に重なった座布団の山。

■ 指示なし、マニュアルなし、責任者不在
誰も言っていない。
「座布団、片付けようか」
そんな会話は、
一切ない。
なのに、立ち上がると同時に
なぜか完成している、座布団の山。
この国には、
無言で完結する作業が多すぎる。
■ 人のため? 次の人のため?
違う。
そんな立派な理由ではない。
体が勝手に動く。
呼吸を吸うように。
靴をそろえるように。
なぜか分からないが、やっている。
誰もおそらく何も考えていないのに、
やっている。
■ 海外では、この場面が成立しない
海外なら、
- 床に座らない
- 座布団がない
- そもそも片付けるという発想がない
つまり、
この一連の動きは
日本限定イベントである。
世界に向けて説明しようとしても、
「Why?」
と聞かれて、
私は答えに詰まる。
阿吽の呼吸と同じだ。
■ 値上がりと、値上がらないもの
白菜は値上がりした。
定食も値上がりした。
でも、
座布団を重ねる行為は、
据え置き価格。
追加料金なし。
ポイント還元なし。
レビューも付かない。
それでも、
なぜかその行為は消えない。

■ いったいこれは、なんなんだろう
親切でもない。
道徳でもない。
マナー講座でもない。
でも確かに、
存在している。
いったいこれは、なんなんだろう。
■ 不思議な国、日本
900円の定食を食べ、
黙って座布団を重ね、
何事もなかった顔で帰る。
値上げには敏感で、
文化には無自覚。
不思議な国、日本。
白菜は高くなったが、
この国の所作は、
今日も静かに営業中である。
椅子に座っていた私は、一瞬日本を感じていた。


