あそこの機能は止まっても、同期の笑いは止まらない
Last Updated on 2026年1月19日 by 管理者 Nikifarm
おはようございます、室温16℃。
目 次
――雪をはね、髪が増え、あそこの機能は家庭内決裁――
東京・日本橋の中華料理店、国泰飯店。

警察学校の同期生が、1年ぶりに集まった。
実はこの飲み会、
突然決まったわけではない。
前立腺がんの手術を受ける――
その連絡は、昨年末の時点でみんなに届いていた。
「じゃあ、手術が終わってから集まろう」
そう決めて、
ようやく実現したのが今回だ。
しかも一人は新潟の上越市から来た。
聞けば、
「今朝も雪はねしてから出てきた」
手術を越え、
雪を越え、
中華にたどり着いた男達。
この時点で、
もう一品分の感動がある。

■ 年を取ると、乾杯の後が違う
昔の同期会は、
仕事、教官・助教、女、愚痴、武勇伝。
今は違う。
乾杯のあと、
10分でこうなる。
「で、どこが悪い?」
健康診断の数値が飛び交い、
薬の名前と手術の回数で盛り上がる。
私だけはなぜか参加できないで、聞き役専門だ。
そんな中、
主役が静かに言った。
「俺、脊柱管狭窄症の手術を夏にして、前立腺がんの手術暮れにしたんだよ」
一瞬、静まり返るが、
続く言葉は意外と軽い。
「でもな、今は普通に生活してるし、酒は飲む」
■ 前立腺がんの治療は、実はいろいろある
前立腺がんの治療には、
いくつか選択肢があり彼のは画期的だ。
- 手術で前立腺をそっくり取る(尿漏れ問題あり)
- 放射線を外から当てる
- ホルモン療法で男性ホルモンを抑える
- そして最新式、密封小線源療法(ブラキセラピー)
今回の話題の中心は、
この 密封小線源療法 だった。
前立腺の中に、
米粒ほどの放射線源の針を
50〜100個ほど入れる。
派手さはない。

だが、
「静かに、徐々に確実に長期間効く」
まるで、
仕事のできる地味な刑事だ。
- 切らない
- 入院が短い
- 生活に戻るのが早い
シニア世代には、
かなりありがたい治療方だ。
■ ただし、その前に来る「例の注射」
話が一気に盛り上がったのは、
ここからだ。
「手術前にさ、ホルモン注射を打つんだよ」
男性ホルモンを抑える注射。
つまり、女性ホルモン寄りになる。
本人いわく、
「俺、途中でおかまになったかと思った」
- 胸は張る
- 気分はやたら内股で、優しいかも
- ドラマで少し泣く
同期一同、爆笑。
■ 医者の説明は、突然核心を突く
さらに医師は、
淡々とこう言ったらしい。
「ホルモン注射はあそこの機能がなくなりますので、
奥様に聞いてください」
――あそこ。
具体名なし。
説明終了。
だが意味だけは、
完璧に伝わる。
■ 手術より難しい、家庭内相談
病院を出たあと、
彼は悩んだそうだ。
手術の同意書より、
この説明するほうが重い。
夕食後、
意を決して切り出す。
「なあ……しばらく、その……
機能が……」
奥さん、即答。
「はいはい。よかったよかった」(含みあり)

家庭内決裁、即通過。
■ さらに予想外の副作用があった
ところが、
ホルモン注射には
思わぬ“おまけ”があった。
本人が、
頭をポンと叩く。
「女性ホルモンだからかな、
髪の毛、生えてきたんだよ」
一瞬の沈黙。
次の瞬間、大爆笑。
「リアップより、断然いいかもな」
まさか医療の進歩を、毛根で実感するとは。
実におれもあやかりたい。
■ 人生の機能は止まらない
前立腺がん治療は、
体の一部を止めるかもしれない。
だが、
人生そのものは止めない。
手術を越え、雪を越え、また同期と笑える。
医師の言葉は、
冷静で正しかった。
「あそこの機能」より、
人生の機能を優先してください。
今夜の酒は、8年物の紹興酒。

人生は、
まだちゃんと味がした。
今朝、雪はねをしてから来た男と一緒に。


